「聴く」ことの力
身体を動かすことが子供のころから苦手で、(ちなみに鉄棒の逆上がりが、小学5年までできなかった)しかも、生粋のアナログ人間であるわたしの唯一の趣味といえるのは、読書です。
数年前に読んで、最近また読み直した本に、鷲田清一さんという方の『「聴く」ことの力』があります。
医師という職業柄、がんなど、重い病を得た方や、その家族の方と対話する機会が数多くありました。
患者さんの話を 「聴く」。
そんなことは当たり前にやっているつもりでした。
そんな時にこの本に出会いました。
鷲田さんはいいます。
<聴く>というのは、なにもしないで耳を傾けるという単純に受動的な行為なのではない。
それは語る側からすれば、ことばを受けとめてもらったという、たしかな出来事である。
「聴く」という字の成り立ちは、「耳をつき出し、まっすぐな心でよくきく」。
医療という特殊な場だけでなく、日常の場面でも、「聴く」ということは本当に難しい。
今回、この本を読み直して、「語る-聴く」の関係を大切に、医師として再出発しよう と、気持を新たにした次第です。